コラム

こだわり?製本ミス?

本を読んでいると、時々上の部分が不揃いで凸凹な本に出会う事があります。

 

多くの本は天地と横の三方がきれいに切り揃えられている、いわゆる化粧断ちされたものが通常です。

ですので、上の部分が不揃いな本を見つけると、製本ミスなのでは無いかと考えてしまいそうですが、これはあえて天側を断裁しない『天アンカット』という装丁だそうです。

 

採用される理由は出版社によって様々で、スピン(栞紐)を取り付ける作業工程上断裁する事が出来なかった名残りであるとか、産業革命時代に西洋より伝わった格調高い製法であり、書物の長い歴史への敬意を表すという事であったり、お洒落な拘りや本の内容や雰囲気に合わせて、などがあるようです。

 

この『天アンカット』による製本方法は、断裁が少ない分作業も楽なのかと考えそうですが、実はコストも時間もかかる難しい作業のようで、そこには深い理由とこだわりがあり、あえて採用しているという事がわかります。

 

そんな背景を知った上で、あの不揃いな凸凹具合を見ると不思議と味わい深いものに見えてきます。

 

輪転部 印刷課 K

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